第4回 日本小児リハビリテーション医学会 学術集会

特別講演

伊福部 達(いふくべとおる) 先生

 伊福部 達先生は、東京大学名誉教授北海道大学名誉教授。約50年にわたり障害者・高齢者を支援する福祉工学分野を開拓し、心理生理学の基礎科学とバーチャルリアリティやロボットなどの応用技術が循環する研究方法論を構築すると共に、開発機器を実用化に導いてこられた。

 この方法論に基づいて開発された機器を列挙すると、①聴覚障害者用の「触知ボコーダ」、「音声タイプライタ」、「人工内耳」、「音声字幕システム」、②発声障害者用の「人工喉頭」、「ゆびで話す電話」、③視覚障害者用の「超音波メガネ」、「スクリーンリーダ(95リーダ)」、「触覚ジョグダイアル(タジョダ)」、などがある。また、開発された機器の幾つかはバーチャルリアリティやロボティクスなどの先端技術にも活かされている。

 2010~2020年は、JSTの国家的プロジェクトである「高齢社会を豊かにする科学・技術・システムの創成」のプログラム・オフィサー(PO)として産学連携研究を先導している。このプロジェクトは「自律運転知能システム」、「ジョブ・マッチング・プラットフォーム(高齢者クラウド)」および「生活支援コミュニケーションロボット」の3課題からなっており、現在は事業化段階に入っている。

 また、NHKの依頼により、難聴者に聞き取りやすい「緊急地震速報チャイム」を作成し、障害者や高齢者の災害予防にも貢献されている。緊急地震速報のチャイム音考案においては、叔父の伊福部昭氏が作曲した『シンフォニア・タプカーラ』の第3楽章を参考にした案が速報音に採用された。

        伊福部達先生

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